「返品率5%だから、売上の5%を失っている」と考えがちですが、これは正確ではありません。返品・キャンセルの影響は、出荷済みの送料や、商品を再び販売できるかどうかによっても変わります。
この記事では、返品・キャンセルが利益に与える影響を、注文単価だけでなく、送料・返品対応費用・再販可能率まで含めて試算する考え方を解説します。
「注文単価×返品率」だけでは分からないこと
返品・キャンセルの影響を「失った売上」だけで見ると、実際の損失を過小・過大に見積もることがあります。
返品された商品をそのまま再び販売できるなら、商品原価はほぼ失われません。一方、出荷済みの送料や、返品対応のために新たに発生する費用は、通常は戻ってきません。
返品・キャンセル1件あたりの損失の計算式
商品原価は、平均注文単価に原価率をかけて求めます。返品1件あたりの損失は、顧客へ返金する注文単価から、再販できる場合に戻ってくる商品原価相当を差し引き、出荷済みで戻らない送料と返品対応費用を足し、返金しても戻ってこない手数料相当(あれば)を差し引いて計算します。
商品原価 = 平均注文単価 × 原価率 ÷ 100
返品・キャンセル1件あたりの損失 = 平均注文単価 - (商品原価 × 再販可能率÷100) + 出荷送料 + 返品対応費用 - (平均注文単価 × 非返金手数料率÷100)
月間の利益への影響額 = 返品・キャンセル1件あたりの損失 × (月間注文件数 × 返品・キャンセル率÷100)
具体例
平均注文単価5,000円、原価率40%、出荷送料500円、返品対応費用300円、再販可能率50%、非返金手数料率3%、月間注文200件、返品・キャンセル率5%の場合で計算します。
商品原価 = 5,000 × 40% = 2,000円
1件あたりの損失 = 5,000 - (2,000×50%) + 500 + 300 - (5,000×3%) = 4,650円
月間の返品・キャンセル件数 = 200 × 5% = 10件
月間の利益への影響額 = 4,650 × 10 = 46,500円
この例では、売上に対する割合は4.65%です。単純な「注文単価×返品率」(5,000×10件=50,000円)とは、再販可能率・送料・手数料の分だけ差が出ています。
再販可能率が結果に与える影響
再販できる商品(再販可能率が高い)は、返品されても商品原価はほぼ失われません。再販できない商品(消耗品・食品・オーダーメイドなど)は、返品のたびに商品原価もあわせて失われます。
同じ条件で再販可能率だけを0%と100%で比べると、1件あたりの損失は5,650円と3,650円になり、2,000円(商品原価分)の差が出ます。
この試算に含まれていないこと
返品理由(サイズ違い・不良品・イメージ相違など)によって、実際にかかる費用は変わります。この試算は目安です。
人件費など、返品対応にかかる時間的なコストはこの金額に含まれていません。また、返品が多いことによる信頼低下や、将来の再購入への影響も含まれていません。
自分の数字で計算する
自社の平均注文単価・原価率・返品率などを入力すると、その場で返品・キャンセル1件あたりの損失と、月間の利益への影響額を確認できます。