「広告費は変えていないのに、ROASが下がった」と感じることがあります。ただし、ROASが下がる原因は一つとは限りません。

この記事では、ROASをCPC(クリック単価)・CVR(購入率)・客単価(AOV)の3つの数字に分解し、自社のどこが変化したのかを一次的に切り分ける方法を解説します。

ROASはCPC・CVR・客単価に分解できる

ROASは、次の関係から3つの数字に分解できます。

売上 = 注文件数 × 客単価(AOV)

注文件数 = クリック数 × CVR

広告費 = クリック数 × CPC

売上 ÷ 広告費 = 客単価(AOV) × CVR ÷ CPC

ROAS(%) = 客単価(AOV) × CVR ÷ CPC × 100

  • CVが購入・注文であること(会員登録・資料請求・LINE追加・問い合わせ等がCVの場合、この分解はそのまま使えません)
  • CV数が注文件数として対応していること
  • 客単価(AOV)が同じ広告経由の注文群の平均であること
  • CPCとCVRが同じクリック母集団から算出されていること
  • 同じ集計期間・同じ集計元のデータであること

この分解は、上記の前提がそろっている場合の目安です。前提がずれている場合は、そのまま当てはめないでください。

Field Note Tools表記への置き換え

上の式のCVRは、2%なら0.02という小数で計算しています。Field Note Toolsのcvr-calculatorでは、CVRを「2%」ではなく数値の「2」として表示します。この表記に置き換えると、式は次のように簡略化できます。

ROAS(%) = 客単価(AOV) × CVR(%) ÷ CPC

小数のCVR(0.02)をそのまま簡略式に代入すると、結果が100倍ずれます。この簡略式は、CVRを%の数値(2%なら2)として使う場合専用です。

具体例で確認する

客単価5,000円・CVR 2%・CPC100円、クリック数1,000件の場合で考えてみます。

注文件数 = 1,000 × 0.02 = 20件

売上 = 20 × 5,000 = 100,000円

広告費 = 1,000 × 100 = 100,000円

ROAS = 100,000 ÷ 100,000 × 100 = 100%

簡略式でも、5,000 × 2 ÷ 100 = 100%と同じ結果になります。

ROAS計算ツールで現在のROASを確認する

Pattern 1:CPCが上がった

クリック単価(CPC)が上がり、CVR・客単価は大きく変わっていない場合、クリック単価側の変化を確認します。

CPCが上がる背景には、競争環境・入札設定・配信条件・広告の品質評価など、広告媒体によって異なる要因があります。原因をここで断定することはできません。

CPC計算ツールでクリック単価を確認する

Pattern 2:CVRが下がった

コンバージョン率(CVR)が下がり、CPC・客単価は大きく変わっていない場合、購入率側を確認します。商品ページ側の見せ方が影響していることもありますが、この記事では原因の切り分けまでにとどめます。

CVR計算ツールでCVRを確認する

Pattern 3:客単価(AOV)が下がった

客単価(AOV)が下がり、CPC・CVRは大きく変わっていない場合、注文単価側を確認します。

客単価を上げれば必ず利益も増える、というわけではありません。売上と利益は別に確認する必要があります。

客単価アップ効果シミュレーターで客単価を確認する

Pattern 4:複数の数字が同時に悪化している

CPC・CVR・客単価は単位が異なる数字です。「CPCが20円上がった」「CVRが0.5pt下がった」「客単価が500円下がった」のように、生の変化幅を比較して、どれが主な原因かを決めることはできません。変化率で比較して順位をつけることも避けます。

この場合は、前期間と今期間で3つの数字をそれぞれ個別に確認し、複数の要因が同時に影響している可能性がある、という前提で見ていきます。比較するときは、前月と今月、施策変更前と変更後など、条件をそろえた期間で確認します。季節性が強い商材では、単純な前月比較だけで判断せず、必要に応じて前年同月なども確認します。

Pattern 5:CPC・CVR・客単価がほぼ変わっていないのにROASが動いた

ROASはCPC・CVR・客単価の関係で決まるため、同じ集団・同じ期間・同じ定義でこの3つがほとんど変わっていなければ、通常ROASも大きくは変わりません。3指標がほぼ同じに見えるのにROASが変化している場合は、比較しているデータの前提がそろっているかを確認します。

  • 集計期間が同じか
  • クリック・コンバージョンの定義が同じか
  • アトリビューションの設定が変わっていないか
  • 売上の帰属方法が変わっていないか
  • 返品・キャンセルが売上側にのみ反映されていないか
  • 値引き・クーポンの影響が含まれていないか
  • 広告媒体側の仕様変更がなかったか

これは「数式では説明できない第4の原因」ではなく、比較条件をそろえるための確認です。

ROASは広告だけで決まらない

ROASが下がったからといって、必ずしも広告運用そのものが悪化したとは限りません。客単価の変化、商品構成、値引き、在庫状況、サイト側の問題など、広告の外側にある要因が影響していることもあります。

そのROASで利益が出るかは別問題

ここまでの内容は、ROASが変化した原因を切り分けるためのものです。「今のROASで利益が出ているか」は別の問題です。原因を確認したら、現在のROASが自社の損益分岐ラインを上回っているかもあわせて確認してください。

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