新規顧客の獲得と、既存顧客の再購入(リピート)。どちらに力を入れるべきかは、ネットショップ運営でよく悩むテーマです。
ただし、どちらか一方が常に正解というわけではありません。自社の新規顧客数・実績CPA・リピート率・顧客の売上規模を確認すると、今どちらに改善余地があるかが見えてきます。
一律に決められない理由
「新規獲得は既存顧客の維持よりコストがかかる」という主張を目にすることがありますが、具体的な倍率の出典や調査条件まで示している例は多くありません。条件が分からない数字をそのまま自社に当てはめるのは避けたほうが安全です。
また、新規顧客とリピーターの理想的な比率についても、一律の正解はありません。あるべきバランスは、事業モデルによって大きく変わります。
- 定期購入型か単発購入型か
- 消耗品か耐久財か
- 商品単価が高いか低いか
- 購入頻度が高いか低いか
- 開業直後か、ある程度顧客基盤があるか
「新規○:リピーター○が理想」という固定の比率も、この記事では扱いません。
新規顧客側で見る数字
新規顧客側でまず確認するのは、CPA(Cost Per Acquisition/1件の新規顧客獲得にかかった広告費)です。
ただし、CPAの数字だけでは高い・安いを判断できません。CPAが低く見えても、その商品の採算ラインを超えていれば利益は残りません。
CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
リピーター側で見る数字
リピーター側では、主に3つの数字が手がかりになります。
リピート率は、対象の新規顧客群のうち再購入した顧客の割合です。購入回数は、1人の顧客が何回購入しているかを示します。売上ベース簡易LTVは、平均購入単価×平均購入回数で計算する、顧客1人あたりの売上規模の目安です。
購入回数は独立した確認項目ではなく、LTVの計算に使う入力値の一つとして扱います。リピート率そのものの確認方法は、この後のPattern 3で紹介します。
CPA・リピート率・LTVを単純比較しない
CPA・リピート率・LTVは、単位も役割も異なる数字です。3つを並べて「高い/低い」だけで比較しないでください。
特に注意したいのが、売上ベース簡易LTVとCPAの比較です。LTVが売上ベースの数字である以上、コストであるCPAと直接比べて「採算が合う/合わない」を判断することはできません。
例えば、売上ベース簡易LTVが10,000円、CPAが5,000円だったとします。一見、LTVがCPAを上回っているため採算が合っているように見えます。しかし、この商品の粗利率が20%だとすると、売上ベースLTVの粗利相当額は2,000円です。CPA5,000円では、実際には利益が残らない可能性があります。
この例は、売上ベースLTVとCPAを直接比較できないことを示すためのものです。自社の商品で採算ラインを確認したい場合は、次のPattern 2で紹介する方法を使ってください。
Pattern 1:新規顧客そのものが少ない
対象となる新規顧客の母数が少ない場合、リピート施策だけを強化しても、再購入してくれる顧客の絶対数はなかなか増えません。まず新規流入と実績CPAを確認します。
CPAが低いからといって、そのまま新規獲得を増やしてよいとは限りません。採算ラインとの比較はPattern 2で確認します。
Pattern 2:新規は取れているがCPAが採算ラインを超えている
新規顧客数自体は確保できていても、実績CPAが商品の採算ライン(限界CPA)を超えていれば、獲得を増やすほど利益を圧迫します。獲得量を増やす前に、まず採算が合っているかを確認します。
Pattern 3:新規は取れているが再購入が少ない
新規顧客の獲得はできているのに、その後の再購入が少ない場合は、リピート改善に余地があります。
Pattern 4:リピート率は高いが顧客母数が小さい
リピート率自体は高くても、そもそもの新規顧客数が少なければ、売上規模は伸びにくくなります。この場合、LTVを見ても新規獲得を増やすべきかどうかを直接判断できるわけではありません。
この場合は、Pattern 1・Pattern 2で紹介した新規顧客側の確認方法に戻って考えます。
Pattern 5:新規もリピートも弱い
新規顧客数・リピート率のどちらにも改善余地がある場合、片方だけを直せば解決するとは限りません。アクセス・CVR・客単価・広告・利益まで含めて、売上全体の構造を見直します。
必要な数字を既存Toolで確認する
ここまでのPatternで、状況ごとに確認する数字とツールを紹介しました。自社がどのPatternに近いか分からない場合は、まず実績CPAとリピート率の2つから確認すると、次に見るべき数字が絞り込みやすくなります。
売上改善全体を見る
新規顧客とリピーターのバランス以外にも、アクセス・CVR・客単価・利益など、売上を左右する要素は複数あります。