広告のROASが良いと、「もっと広告費を増やせば、もっと売れるのでは」と考えたくなります。ただし、増額した分の広告費が、増えた注文の利益で回収できるとは限りません。
この記事では、増額分だけを取り出して、回収に必要なCVRと客単価を逆算する方法を解説します。
全体のROASではなく、増額分で見る
これまでの広告全体のROASが黒字でも、増額分が同じ効率で成果につながるとは限りません。増額した広告費は、その分の追加注文から得られる利益で回収できるかを、別に確認します。
ここでの利益は、売上から原価・送料・手数料などを引き、広告費だけを引かなかった「広告費を除く利益」です。広告費そのものは、増額分として別に差し引きます。
回収できるかの計算式
増額してもCPC・CVR・平均注文単価が変わらないと仮定して、追加の注文数と利益を求めます。
1注文あたりの利益 = 平均注文単価 × 広告費を除く利益率
追加クリック数 = 増額する広告費 ÷ CPC
追加注文数 = 追加クリック数 × CVR
増額分を差し引いた追加利益 = 追加注文数 × 1注文あたりの利益 - 増額する広告費
具体例
増額10万円、CPC100円、CVR2%、平均注文単価5,000円、広告費を除く利益率40%の場合です。
1注文あたりの利益 = 5,000 × 40% = 2,000円
追加クリック数 = 100,000 ÷ 100 = 1,000
追加注文数 = 1,000 × 2% = 20件
増額分を差し引いた追加利益 = 20 × 2,000 - 100,000 = −60,000円
追加注文20件の利益は4万円で、増額した10万円を回収できません。追加の売上はちょうど10万円ですが、そこから原価などを引くと、利益は4万円しか残らないためです。
回収に必要なCVRと客単価を逆算する
増額分をちょうど回収できるCVRと客単価は、次のように求められます。
損益分岐CVR = CPC ÷ 1注文あたりの利益 = 100 ÷ 2,000 = 5%
損益分岐の注文単価 = CPC ÷ (CVR × 広告費を除く利益率) = 100 ÷ (2% × 40%) = 12,500円
この例では、CVRが2%から5%へ2.5倍になるか、平均注文単価が5,000円から12,500円になれば、増額分を回収できます。損益分岐CVRが100%を超える場合は、CVRを上げるだけでは回収できないため、CPCや利益率など、ほかの条件を見直します。
この計算の前提が崩れやすい理由
実際には、広告費を増やすほど、条件の良い層への配信が一巡してCPCが上がったり、CVRが下がったりしやすくなります。この計算はそれを含んでいないため、現在の値だけでなく、少し悪化した値でも計算して、余裕があるかを確認してください。
自分の数字で計算する
増額する広告費・CPC・CVR・平均注文単価・広告費を除く利益率を入力すると、増額分を回収できるかと、損益分岐CVR・注文単価を確認できます。